「…兄さんも……中毒患者だったんだ」


つまりぼくらは、
一つの病院で出してくれる薬の量では、
とても足りないくらいの苦しみを抱えている
ということだった。


「アズミ…、ぼくら、
いけないことしてるよね」


「うん…、薬物依存っていうの?
わたし、親に隠すのが大変でさ」


「アズミ、歳いくつ?」


「19歳」


「ぼくは28歳。行徳亮平。
《亮平》でいいよ」


「亮平」
とアズミはつぶやいた。


思えばそのときから、

ぼくらはささやかな共犯者になっていたのだ

――。