ピッピッピッ…と電子音がする。
「覚醒しました」と、誰かがパタパタと駆けていく音がする。
なんだ?アズミはどこへ行っちゃったんだ??
ぼくはわけがわからず、呆然としていた。
「行徳さん、わかります?」
と医師らしき人が、ぼくに尋ねる。
「あなたはご自宅で倒れているところを、警察官に発見されたんです」
「あなたの仕事先の人が、何度電話しても通じないって通報したんですよ。
無茶はいけませんよ」
ぼくは、肺炎にかかっていた。
大量の薬が、気管支を通じて肺に入ってしまったのだ。
ぼくは、はじめて、自分が死にそこねたことを知った。