「彼もギターが好きだったなぁ…」


「アズミ、
それで眠れなくなっちゃったの?」


「ううん、それが原因じゃない」
彼女はきっぱりと言い切った。


「眠れなくなったのは、別の理由」


「…あまり詮索しないでおくよ」


「うん。ありがと」


ぼくらはK停留所に着いたのちも、同じ方角を歩き、結局、一緒にとある精神病院に着いてしまった。

それだけで、ぼくらは、自分たちの置かれている状況が理解し合えた。


「なぁんだ、二人とも病院ハシゴしてたのか」

ぼくはつとめて明るく言ったが、アズミは呆然としていた。