1月の初め、しんと静まる寒い日に、
ぼくはギターを弾いていた。



空はくもっていて、雪が降りそうだった。
ここ作業療法室には、誰もいない。



ぼくは、この精神病院で、
いま診察待ちをしているところだった。



――ガシャーーンと、ガラス細工のように
壊れてしまったぼくのこころ――



ぼくは少し涙を浮かべていたかも知れない。


…ふとぼくは、外に人の気配を感じた。