「ねぇ、何で急に走り出したの?お化け屋敷で。」
思いが通じたのか
雨は小粒になってあたし達は再び園内を歩き出す
「時間、なかったから。」
あたしの問いかけにそう答えた飴玉男
「時間…?」
飴玉男は優しくあたしに微笑んで
斜め上を指さした
「……観覧車…?」
飴玉男が指さした先には
色とりどりに光る大きな観覧車
「デートの締めくくりはやっぱ、観覧車でしょ?」
「…それで急に走り出したの?」
「そ♪行こう、閉まっちゃう!」
そう言ってあたしの手を引いて観覧車へ向かう飴玉男
どうしたんだろ…
あたし…
なんだか無償に泣きそうだった