「いってらっしゃーい♪」
そう言って笑顔で手を振る案内係
今のあたしには悪魔の笑顔に見えて仕方がない
大丈夫…大丈夫…
目をつむってればすぐ終わる!
ぎゅっと固く目を閉じて
あたしはカタカタと音を立てて上がるジェットコースターに力いっぱい握り拳
「桃ちゃん……」
その時
ふと震えた声があたしの耳に届いて
手のひらに感じた事のあるぬくもり
あたしは恐る恐る目を開いて
隣に居る飴玉男に視線を向けた
「俺、高所恐怖症なの……」
え?
思わぬ飴玉男の爆弾発言に目が点
気が付けばあたし達はいつの間にか頂上で
理解出来ないうちにジェットコースターは一気に急下降
「いやぁぁぁぁぁあ!!」「桃ちゃーぁんッ!!」
高所恐怖症の二人を乗せたジェットコースターはお構いなしに回る回る回る……