「俺があの時、もし飴落としてなくてちゃんと食べられてたら、きっとこんな風に桃ちゃんの事好きになってないと思う。」


遥か遠く先の道路に
いつも乗ってるバスが見えた



「でも俺があの時飴を落としたのは…きっと桃ちゃんに出逢う為だったんだ。」


徐々に近づくバスから目を逸らして
あたしは飴玉男に目を向けた



「たった……一つの飴で恋に落ちるなんて…ありえないよ。」


今度は出来るだけ柔らかい口調で
なだめるように問いかけた



あたしの言葉に飴玉男は少しだけはにかんで
「でもこの飴は俺にとって、俺と桃ちゃんを繋ぐ運命のイチゴ味だったんだよ。」

そう言って小さなピンク色の飴をあたしに差し出した