「泣き虫。」


そう言いながら
あたしの涙を指先で拭った彼は



「俺にもHappy Birthdayは?」


とあたしの顔を覗き込んだ



「誕生日……いつなの?」


少し躊躇って尋ねたあたしに
笑った飴玉男







「5月13日。今日が俺の誕生日。」


「え……?」




目を丸くするあたしを見つめながら


再び口を開いた飴玉男は




「桃ちゃんと一緒。今日で俺も20歳だよ。



運命、感じない?」



そう言って
あたしの頬にキスをする





その言葉に
あたしの瞳から再び流れた雫






運命



そんな物信じてなかった





でも



抱きしめてくれるこの温もりも


キスを落とし
優しい笑顔をくれる飴玉男も





全てが『運命』


そう思ったんだ