「桃ちゃん、ずっと外ばっかり見てるんだもん。



悔しいから気が付いてくれるの待ってたんだ。」




少し日に焼けた顔に
優しい笑顔を浮かべて


あたしに歩み寄る飴玉男





「い……いつ…帰って…来たの…?」



止まらない涙を溢したまま
あたしは懸命に口を開いた



「今さっき帰って来た。」


その笑顔は
春の景色に混ざって
あたしに実感させた





ゆっくりと



徐々に歩み寄る飴玉男




そして



あたしを抱きしめて


「Happy Birthday、桃ちゃん♪」



そう
耳元で囁いた






感じる温もりに



溶けてしまうようなストロベリーの香りに





震える腕を背中に回した