閉じかけた扉を見て
あたしは立ち上がって車内を走る
「降ります!」
驚く運転手に
お金を投入口に投げ
開かれた扉に飛び込むように
バスを降りた
そして
「飴玉男!!!」
飴玉を強く握りしめたまま
その後ろ姿にあたしは思い切り叫んだ
ピタリと足を止めて
振り返る彼に
あたしの心臓が大きく揺れた
「気付くの遅いよ。」
そうぼやいた彼が
涙で滲んでゆらゆら揺れてる
穏やかな風に
春の日差しがあたしの涙腺を壊した
ずっと
ずっと会いたかった
ずっと待ってた
こんなにも待ち焦がれた人が
今
あたしの目の前で笑ってる