エンジンの音が耳に届いてバスがゆっくりと走り出した




流れる景色に目を移して
窓の外で揺れる木の葉を見つめた







そしてその場所が近づくにつれて
あたしの心臓が音を立てながら伝えてくる





大きな木々に囲まれた校舎に
5月の日差しが照らし出す




窓に手を添えて
あたしは少しだけ笑顔が溢れた






いつも一緒に居た
あのバス停




「……懐かしい…な…」



通り過ぎるバス停を
見えなくなるまで見つめた





『君は俺の天使なんだ!』


『こんな気持ちになったの初めてなんだ♪』


『桃ちゃん、スキだよ。』






色んな思い出が走馬灯のように駆け巡る



『Happy Birthday、桃ちゃん♪』


17歳の誕生日
あたし達は初めて唇を重ねた