「帰って来るんだ…飴玉くん…。」


そのハガキを見つめて千絵がポツリと呟いた



そして気が付いたように口を開く



「ってかあんた、飴玉くんの誕生日知ってるの?」



その言葉に
あたしは黙ってしまった






そう


あたしは飴玉男の誕生日を知らない




一緒に過ごした半年の間
一度も聞いた事のなかった誕生日




今更ながら何故聞いてなかったのか


あたしは頭を抱えた




「バカ……だよね。好きな人の誕生日も知らないなんてさ。」


溶けた氷がグラスに水滴を浮かばせる




『20歳』


あたしはもうすぐその節目を迎えようとしていた