プールに小さい波を立てて
ずぶ濡れの腕があたしを包み込んだ




「…スキだよ。桃ちゃん…。」


「……」




飴玉男の髪の毛をつたって
あたしのまつ毛に雫が落ちた





神様……



『永遠』なんて言葉





そんなものいらない





『永遠』という言葉ほど


あやふやな言葉はこの世にないと思うから





約束なんかしてくれなくていい



永遠を誓ってなんて言わない






だから


少しだけ




ほんの少しだけで構わないから







この時を止めて下さい








もう少しだけ



あたしの中に


この人を刻ませて下さい










震える背中に腕を回して




ゆっくりと閉じた瞳から


雨とは違う温かい物が流れた





静かな水面に
溶けては消える雨





最後の夜に


小さく唇を重ねた