大きな窓から見えるプールに
月が映し出されて揺れていた
「…綺麗だね。」
そう呟くあたしを
後ろから抱きしめながら飴玉男が話を始めた
「俺が居なくなったら寂しい?」
「……寂しい…よ。」
そんなの
聞かなくてもわかってるくせに
「…明日どっか行く?」
「どっかって…どこに?」
尋ねるあたしを
振り向かせた飴玉男
「桃ちゃんどこか行きたい所ある?」
ぶつかった視線を下に落として
あたしはうつ向いた
どこも
行きたい場所なんてない
ただ
一緒に居られればそれでいい
どうして
最後の最後まで
素直になれないんだろう