月明かりがあたし達を照らして


二人だけの時間がここに流れる




「…ニューヨーク…行く…の…?」


伝えたい言葉とは裏腹に
口が勝手に動いてしまった






今にも崩れてしまいそうな小さな拳を握りしめて


真っ直ぐに飴玉男を見つめる





「……うん。明後日にはここを断つ。」


「………そう。」




握った拳

力を緩めたら涙が溢れそうだった





「それも……あたしの為…なの?」


ため息混じりに出た言葉が
少しだけ震えてた




飴玉男は時刻表に寄り掛かって
夜空に浮かぶ月を見上げた




「桃ちゃんの為でもある。橘さんの嫌がらせを止めるには、俺が居ない方がいい。

そう思って。」



暗闇に映える飴玉男の横顔は
どこか寂しくあたしの瞳に映った