暗闇に包まれた校舎がだんだん近づいて来て

あたしは深呼吸して立ち上がった




いつも通り定期を見せて


いつも通りバスを降りる





踏みしめた地面から目線を上げた



絡まる視線に
また泣きそうになった




「やっと会えた。」


そう言って笑う飴玉男



その瞳には
揺るぎない決意が見えて



本当に行くんだと思った




「朝からずっと会えないし。会いに行ったら桃ちゃん居ないんだもん。」


「……ごめん…ね。」



静かなバス停に
あたしと飴玉男が佇む




どうして


この期に及んで

行かないで
そう思ってしまうんだろう





好きすぎて


苦しいよ………