「だって飴玉くんはいつだって桃の事、一番に考えてくれてたじゃない。」
あたしの事を……
一番に……?
整理が出来てない頭で
あたしは懸命に思い返していた
どんなに冷たくしても
どんなに突き放したとしても
『桃ちゃん、大好き♪』
そう言って笑ってた
飴玉男は
あたしの為に
あたしの事を考えて
ニューヨークに行くんだ―――…
「桃……」
ぼやけた視界に
千絵の微笑んだ顔が見えて
あたしはすがりつくように泣いた
どうして
どうしてあたしはこんなに弱いんだろう
どうしてあなたは
そんなに強くいられるの?
あたしは千絵の胸の中
張り詰めていた糸が切れたように
涙を流した