―1年半前―




「大丈夫?桃……」



裏庭で
飴玉男と橘さんの話を聞いた後



あたしは千絵に手を引かれたまま
自宅に帰った



急いで飛び出したリビングには
濡れた制服が袋に入ったまま床に転がってる





飴玉男が


ニューヨークに行ってしまう





「桃……」


呆然とするあたしをソファーに座らせて
千絵が言った





「飴玉くん……桃の為にニューヨーク行くんだね。」


「………あたしの…為…?」




ようやく口を開いたあたしに
千絵は優しく微笑んだ




「きっと桃が橘さんに嫌がらせ受けてたの、知ってたんだよ。」



そっとあたしの肩を抱いて
千絵は続けて話す