流れる季節に合間に


何度もあなたの夢を見た




桜舞う春の一時には

必ず思い出す




「桃~!写真、撮ろうよ!」


「うん!」



呼ばれた声に
あたしは振り返って走り出した



昨日染めたばかりの髪の毛が
桜と共になびいて鼻先をくすぐる




カシャっと音が鳴ってあたしの笑顔が刻まれた





「早いね~、もう卒業かぁ。」


腕を広げ体を伸ばしながら千絵が呟いた


「だね。早かった、本当に。」




教室へと続く階段を上がりながら


この階段を上るのは今日で最後なんだと思った




一歩一歩、踏みしめるように上る




彼と


飴玉男と何度も上った薄汚れた階段