「手強そうだね。」



静まりかえった音楽室

ピアノの前に立ったあたしは
人差し指で鍵盤を押した




ポーン……


思ってたよりも低い音が出て
あたしは大きく息を吐く





「まぁ気にする事ないよ、桃♪」


「……うん。」




雨のせいで
いつもの屋上に行けないせいか


あたしのテンションは下がる一方





「飴玉くんは桃しか見てないよ。」


あたしを励ますようにそう言ってくれた千絵に




ありがとう。


口にするのは少し恥ずかしくて



心の中で呟いた






大丈夫。


負けたりしない。





初めてしたこの恋を




ちゃんと守ってみせる






自分の力で