「お姉、下駄しらない!?」
「知らん。」
約束の花火大会当日
あたしは朝から大忙しで家中を駆け回っていた
あらゆる所を探して
やっと見つけた下駄にあたしはホッと胸をなでおろす
「で?誰と行くの?」
浴衣をテキパキと着付けてくれるお姉が
上目遣いで聞いて来た
「だ、だから千絵とだってば!」
「ふぅん。わざわざ浴衣まで来てねぇ。」
お姉の疑いの眼差しが痛い程突き刺さる
器用なお姉は
頭を巻いて髪の毛をアップにしてくれた
鏡に映る自分が段々変化して
何だかきまづくて目を逸らした
「よし、出来た♪」
「ありがと、お姉!」
お姉の掛け声と共にあたしは玄関まで早歩き
「彼氏に宜しく♪」
リビングから聞こえたお姉の声に
「千絵とだってば!」
そう返して家を出た