窓辺に見える桜の花びらが
短かった命を終える



そんな美しくも儚い花びらを
愛を告げてくれている彼に背を向けて見つめていた



「あたし、千絵にもう告白されても付き合うなって言われてるの。」


「え!?」

言葉の意味を理解出来てない彼に
あたしは続けてこう言った



「だから千絵の許可もらってくれますか?」


昨日染め直した茶色の髪の毛をなびかせて振り向く



「ごめんなさい!」


頭を軽く下げたあたしは
教室へと続く階段を軽い足取りで降り始めた



まるで捕まえられない蝶のごとく
颯爽と



「ちょ、ちょっと!」

呼び止める彼に

「さよなら♪」


そう告げた


満面の笑みを浮かべるあたしとは真逆に
空と一緒の色をした彼の顔



気にもとめず鼻歌なんて口ずさみながら
あたしは階段を駆け降りた