あ、また
ストラップ増えてる。



私は前を歩く悠太の
ポケットから出ていた
ケータイのストラップに
目をやった。



多分また、
彼女さんとの
ペアストなんだろうな…。



悠太の初カノ。



不器用な悠太の初カノ。



野球ばかな悠太の初カノ。



あぁ、なんだろーか?

この…初めての感覚。



「なぁ万里花って!
聞いてる?」

「え?あ…ごめんごめん、
何だっけ?」

「だーかーらーっ
次の大会、俺先発~!」

「ふぅーん」

「なんだよその反応」

「別にー。
甲子園で投げた悠太なら
当然じゃん。
それに、
どーせ見に行けないし」

「なんだよー。
ノリわりーな」

「違う違う。
悠太の大会の日に
私のテニス部の大会が
かぶってるんだってば」

「まじかよー。
…なんか俺ら最近
一緒にいること
少なくなったよな」

「うん…」



あぁ、なーんだ。



悠太も寂しいって
思ってくれてるのか。



「って。
俺は別に愛がいるから
いいけど(笑)」



そう言って
照れたように笑った悠太。



「そうねー」



私も笑って見せた。



初めて見たかも。

悠太の照れ笑い。