・・・な、なんだこれ。
バイトしに店に来たら、昨日とは何か違った怖さを醸し出している不良たちが店の中にわんさかいた。
何というか・・・威圧感がある。
すごく目つきが悪くて、店の中の明るい雰囲気とすごくミスマッチだった。
不良たちの横をすり抜け、従業員室に入ると私は素早くバイト用の制服に着替える。
後ろ髪を一つにくくり、前髪をピンでとめた。
おでこ、大丈夫かな?
つついてみたら、やはりまだ鈍い痛みが残っていた。
ため息をついて店の厨房に顔を出すと、
「ヒヨコちゃん、そのおでこどうしたの?」
口では心配しながらも店長に予想通り大笑いされてしまった。
「あ、そういえば・・・。」
何かを思い出したかのように急に店長の声が小さくなる。
「今店にいるあの不良たち、みんなヒヨコちゃん目当てみたいなの。」
「は・・・い・・・?」
思わず聞き返してしまう。
「だからね・・・あの不良たちはみんなヒヨコちゃんに会いに来てるのよ!」
「うそ・・・。」
よく見たら、昨日手当てした人ばかり。
鼻にピアスしていたり、髪の色がちょっと普通じゃ考えられない色だったり、どこかの高校の制服をありえないくらい着崩していたりと記憶に新しい人たちだった。
「注文とか聞いてきてちょうだい!私が出るとにらまれて怖いのー!!」
店長、私も怖いんですが。死にたくないんですが。
そうは思ったけど口に出してクビ、と脅されるのもいやだからあきらめてびくびくしながら厨房を出た。
「み、みなさんご注文は!!」
不良たちの視線は、大きな声を出した私に集まった。