全日本代表への夢・・・ ~日の丸を胸に、紗奈の想い~

20××年11月・・・


ずっと夢見てきた大舞台、
全日本代表・・・


この日初めて、私はこのコートの上にに立った。


この胸にある日の丸を背負って、
全日本代表として戦う。
子供の頃からの夢見ていた
この大舞台のコートに私は立ったんだ。



柴原紗奈 17歳
高校生から唯一全日本代表に選ばれた一人。
将来を期待された未来のエース。


国旗を見つめて、『君が代』を歌う。
それだけで胸が熱くなる。


私は日本代表なんだ・・・


私は胸に手をあて誓った。

このチームのため、
全日本のために持てる力を
全部出し切ります。



宏大・・・私、頑張るよ・・・









女子世界バレー開幕!!


初戦から盛り上がりを見せた全日本。
今年の全日本は強かった。
エースの海老原を筆頭に
世界レベルのメンバーが揃った。


今年はメダルも夢じゃない!!


始まる前からそんな期待が
全日本女子バレーにかかっていた。



そんな日本のファンの期待を背負って
私達は世界の強豪と戦う。



私もついていけるよう頑張らないと・・・






第1次ラウンドを圧倒的な強さで
全勝突破し、
迎えた第2次ラウンドも順調に勝ち進み
全日本は見事ベスト4入りを果たした。


すごい・・・


初めて世界ランクの戦いを
目の当たりした私は震えが止まらなかった。


そして体中から沸々と沸きあがる感情・・・


試合に・・・出たい・・・


私はその感情を抑え込むのに必死だった。





そして迎えた第2次ラウンドの最終戦、
対戦相手は強豪ロシア。
共に全勝でこの対戦を迎えた。


第2次ラウンドを一位通過するか、
二位通過するかの大事な試合だ。






試合はいつもの通り、
ベストメンバーで臨んだ。


エース海老原が奮闘するも
ロシアの高さの前に
なかなか得点を上げられない。


対するロシアはエース、メルシュコワに
面白いようにスパイクを決められた。



第一セット

日本 20-25 ロシア



第二セット

日本 15-25 ロシア



圧倒的な強さのロシア、
第一セット、第二セットを
ロシアに奪われてしまった。





「第三セットは取るよ!!」


キャプテンのセッター宮下が
みんなにゲキを飛ばす!!


「「「おぉぉぉーっ!!!」」」



宮下のゲキに奮闘する全日本、
海老原がスパイクを決めていく!!


しかしロシアも攻撃の手を緩めない、
強烈なスパイクを
全日本コートに打ち込んでくる。



なんであんなスパイクが打てるの・・・


私はただロシアの迫力に圧倒されていた。




その時、監督が私を呼んだ。


「紗奈、行くぞ!!」


「えっ!?」


「用意しとけ!!」


「は、はい!!」



私が・・・出るの・・・?




『どうやら柴原が呼ばれたようですね?』


『ここで柴原を出しますか?』


『まぁ、世界を知るのには
最高の舞台ですけどね。』


『おおっと、ここで柴原投入です。』


『柴原は未来のエースです、
ここで世界を知ってほしいですね。』



17-13でロシアが4点リードの場面で、
柴原紗奈、初の全日本のコートに立った。


「「「おぉぉぉぉぉーっ!!!」」」


紗奈がコートの上に立つと大歓声が上がった。


すごい・・・


紗奈はこの歓声を肌で感じていた。



「ほら、ボーっとしない!!」


海老原が紗奈の背中を叩く。


「は、はい!!」



「紗奈、行くよ!!」


「えっ!?」


宮下が紗奈にそう言って微笑んだ。





その頃、佐久間家では・・・


「おい、紗奈ちゃんが出たぞ!!」


「わぁ、紗奈ぁぁぁー!!」


地元同じ中学の仲間が
紗奈を応援するために集まっていた。


「宏大!!」


「ああ。」


佐久間宏大、紗奈の恋人。
ずっとこの日を迎えるために
陰ながら応援してきた。



紗奈・・・


とうとうやったなぁ!!


何も考えず思いっきり行け!!