―― 大学生。――― 春。 あたしは大学でこそ、誰にも正体をバラさないと決めた。 あの言葉遣い、あの格好は紗波ではなく、あくまでも鬼のお嬢だから。 夜や休日。鬼のお嬢として、街に出るようになって、あたしは正義感を取り戻した。 ただ、この街の人たちが1人でも多く笑顔でいられたら……。 あたしは、その思いだけで街に出ていた。 『おはよぉ♪ここ、良い?』 『あ、おはよう↑良いよ♪』