その言葉を聞いた時、私はまさに天国にでもいる気分でした。

そんな嬉しい言葉を真治が真顔で言ってくれるものだから、私の顔は急に真っ赤になりその後はほとんどお喋りをすることが出来ませんでした。

そんな私を気遣かって

「そんなウブなところがいいんだな」

微笑みながら私の手を握ってくれたのでした。

私の心臓はいまにも破裂しそうなぐらい、心拍数が上昇しているのが自分でも分かるぐらいだった。

「さぁ、そろそろ帰ろうか…」

「うん」

私は真治と手を繋ぎながら美術館を後にし、坂道を下ってJRの大山崎駅までゆっくり歩くのでした。

西に沈みゆく夕日が、私と真治を優しく包み込んでくれていました。

私はこの最高に幸せな時間が永遠に止まればいいと切に願いました。

小学生から中学生にかけて家庭は崩壊して行ったし、中学生になるとそんな家庭環境が影響したのか暗くなった私をみんながいじめるし、これまでの私の人生は楽しい事等ほとんどありませんでした。


(つづく…)