大山崎美術館は天王山の中腹辺りにあり、旧洋館にある2階のテラスからは京都の街が一望でき、テラスでお茶を飲む事も出来た。

安藤先生が設計した美術館は地下に埋もれていて、外からは地下へ通じる階段室が見えている構造になっていた。

モネの睡蓮が展示してある円形のスペースに立ちながら、私と真治はただ黙って印象派の巨匠が描いた名画を鑑賞した。

その後、爽やかな春の風に吹かれながらテラスでお茶をした。

私にはそんな何気ない時間がとても幸せに感じた。

お茶を飲む真治の横顔が夕日に照らされて、とても素敵に思えた。

私が真治の顔に見取れていると

「幸代、もしかして俺に惚れてるのか」

意地悪な質問が飛んできた。

そんな問い掛けに

「そうよ、私真治ことが大好きだから…」

私は正直に想いのたけをぶつけた。

すると、真治も

「俺も幸代のことが好きだよ」

真面目な顔付きで言ってくれたのでした。