1年5組〜建築科の生徒は40人で、その内のほとんどが男子生徒で、女子生徒は私を含めたった3人だけだった。
だから私たち女子はそれだけ目立つ存在だったが、特に中谷沙織は可愛いくてスタイルもよく、明るい性格でクラスの中で輝いていた。
それに比べたら私は見た目も普通だし、中学校からの暗い過去を引きずっていた為、性格的にもあまりぱっとしない存在だった。
ところが、そんな私にもチャンスが訪れた。
男子生徒の中でも飛び切り目立つ中山真治が私の隣の席になったのだ。
私はこれまでに恋などした経験がないので、イケメンの真治が隣にいるだけで心臓がバクバクして授業に身が入らなかった。
そんな緊張しっぱなしの私を見て
「大丈夫か…?」
真治が優しく声をかけてくれてた。
「ありがとう…」
私はそう返事を返すのが精一杯だった。
私の額からはまだ春だというのに汗が滲み出ていた。
それを見た真治が
「これ使いなよ」
真っ白なハンカチーフを私に貸してくれたのでした。