曲を聴き終えて

「俺と幸代はこの歌みたいにはなりたくないよな…」

真治はマジな顔付きでぽつりと零した。

「出来るなら『抱きしめたい』や『名もなき詩』みたいにハッピーになりたいな…」

真治は何時になく真剣な表情だった。

その真剣さが私にはちょっぴり怖く思えたけど、真治の本当の気持ちが伝わって来て私は涙が溢れるくらいに嬉しかった。

そんなウルウルしていた私を真治はそっと抱き寄せ、優しくキスをしてくれた。

その時、真治の瞳からも一粒の涙が零れ落ちた。

「幸代、これからもずっと一緒にいような」

真治の低い声は少しだけ震えていた。

「うん」

真治に抱きしめられた私の身体も嬉しさのあまり小刻みに震えていた。


『ダ−リン、ダ−リン、いろんな角度から君を見てきた。

共に生きれない日が来たって、どうせ愛してしまうと思うんだ。

ダ−リン、ダ−リン、OHマイダ−リンOH。

狂おしく鮮明に僕の記憶を埋め尽くす。

ダ−リン、ダ−リン』


真治はまるでこの歌詞のような自分自身の運命を悟っているかのようだった…。


(つづく…)