夕食後、キースはクリスの部屋に向かった。


まだ9時過ぎだから眠ってはいないだろう。



扉を拳で数回叩き、中からの返事を待つ。



返事はなかった。



もう寝ているのか?



キースは静かに扉を開け、中へ滑り込むようにして入る。



部屋はオレンジ色の柔らかい色に包まれていて、四柱式の寝台に視線を向けるとクリスは眠っていた。



早い就寝だな……まさか、具合でも悪いのか?



キースは寝台に近づき眠るクリスの額に手を置いた。



その時、キースの手首は華奢な手に捕まれ、ねじりあげられようとした。



「おいっ!クリス!」



キースの腕力にはかなわないクリスの手は反対にねじられていた。



「いたいっ!離せっ!」



強くしたわけではなかったが、クリスの顔が歪んだ。



「起きていたのか?」



キースが手を離すと、クリスは飛び起きて腕をさすった。



「バカ力っ!」



クリスがムッとしながら言うと、キースがせせら笑う。