ゆっくりと湯に浸かり眠ったキースは日が沈んだ頃、小間使いに起こされた。



光沢のあるペパーミントグリーンの長衣を着たキースの顔に疲れは消えていた。



小さい頃からの習慣で、3時間ほど眠れば体力が十分に復活する。



日頃の睡眠も3時間で十分だった。



食事の前にクリスの所へ行こうか……。



廊下に出ると、ロイが立っていた。



「ロイ様!?いつからここに?」



「そんなに経っていないよ お食事の時間だからもう出てくると思って待っていたんです」



「何か急用が?」



「キース……僕、嫌な予感がするんです」



「嫌な予感?」



ロイは赤ん坊の時から普通の子供と違っていた。



赤ん坊で大人の言葉を理解し、何度も助けられている。



「クリスさんの事です 自分を傷つけた男を許さないって……今度会ったらただじゃおかない、男に守られたくないと……あの方は女の人なのに……その言葉を聞いて胸が痛みました」



「……男として育てられたんだ 気も強いしな」



「何かに巻き込まれそうで嫌な予感がするんです キース、気を付けてあげて下さいね」



ロイの真剣な表情に、キースは柔らかく笑ってロイの髪をくしゃっと撫でた。