「風邪でも引いたのかねぇ」


外套を畳みながらどうしたものかと考える。



その時、腕に巻かれたなかなか見ることも出来ない絹のきれはしに目をとめた。



緑色の美しい布にはどす黒い血と鮮血が混ざって滲んでいた。



「おや、まあ!怪我をしているじゃないかっ!」



女主人はその傷を良く見ようとして布の結び目を解いた。





「!これはひどい!!!!」



腕はパンパンに赤く腫れ、傷口には膿がたまっている。



高熱はこの傷のせいだとわかる。



「っ……んっ……は……ぁ……」



痛みに顔をしかめている。



「これは腕の良い薬師じゃないと治せないかもしれない……」



女主人は自室に戻り、清潔な布と熱湯を桶に張ってクリスの部屋に急いだ。