「エドワルド様、あたしたちにも絹布を安く分けてくださいな」


隣にいるブロンドの女がキースにしなだれかかる。


女の声で我に返る。



そうだった 城下では俺の名前はエドワルドだ。


「あら、あたしも素敵な絹布が欲しいわ そうしたら魅力的な美しいドレスを仕立て上げるのに」


反対側の女が先ほどの女に対抗意識を持った目で一睨みしてから言う。


そして目の前の2人の女も口々にキースに甘えた声で取り入ろうとしている。


それが面白いわけではない。


しかし、胸の谷間がくっきりと見え、ウェストが絞られた華やかなドレスを着ている女たちは魅力的で肩のこらない会話で楽しませてくれる。


彼女たちはこの店の商売女だ。


商売女とはお金を出せば好きに出来る女性たちのことだ。


だが、彼女たちにも選ぶ権利はある。


美丈夫なキースならばお金がなくても自ら相手をしたい、どうにかしてキースの気を引きたい女たちだった。


「では今度持ってこよう」


「本当ぅに~ うれしいー」


キースの言葉にテーブル席が沸いた。


それを見ていて腹が立つのは他のテーブルの男たちだ。


男が3人のテーブルに女が1人。


しかもその女もキースのテーブルに行きたそうにちらちらと視線を動かしているのだ。