「襲う趣味はないわよ?」


赤い口紅が印象的な唇が笑いかける。


襲う趣味とはなんなんだ?街へ来てからわからない言葉ばかり飛び交っている。


「あたしはイザベラ」


名前を教えてくれたが、俺は黙ったままフィルト酒のグラスに手を伸ばした。



「エドワルド様、今日こそヤバいわねー」


肘をテーブルに付きながら賑やかなテーブルを眺める。


「ヤバイ……」


あの男たちが何かをするということなのか。さっき耳にした言葉は


ますます賑やかになっていく赤毛の男のテーブル。


「あれだけ良い男だからね~ そこらへんの男たちばかり相手している私たちから見れば極上の男さ、女たちが群がるのも無理はないわね」


「お前は行かないのか?」


俺は聞いてみた。


俺なんかといるより楽しそうなあのテーブルに行った方が良いだろうに。


可愛い顔に似合わない口調にイザベラはプッと噴出す。