京都の観光地には犬を連れた人もいて、そのワンちゃんたちとモモは友達になりました。
そんなモモを見ておじいさんは旅に出て本当に良かったと感じました。
次に向かったのは和歌山県の白浜でした。
そこはおばあさんと新婚旅行で来た想い出の場所でした。
初秋の白浜には人影もほとんどなく、モモは初めての海を見てたいへんしゃぎ走り回っていました。
おじいさんは真っ白な砂浜に寝転び、空を見上げました。
すると二羽のカモメがおじいさんの上を仲良く飛んでいました。
それはまるで、とても仲良しだったおじいさんとおばあさんのようでした。
心地良い秋の潮風に吹かれながら、いつの間にかおじいさんは眠ってしまい、遠い昔の淡い夢を見ていました。
その夢に出てきたのは、若い頃に初めて出会ったおばあさんの娘姿でした。
そして、若かりし頃のおばあさんが桜舞い散る樹の下で、微笑みながら大きく手をふっていました…。