「これは可愛いワンちゃんだな。ところでどうしてこの子犬をおじいさんに…?」
「五ヶ月前にうちのミュ−が三匹の子犬を産んだんだ。それでおばあさんを亡くしたおじいさんが淋しい思いをされているから、お母さんがプレゼントしましょうと言ってたよ」
けんちゃんは人懐っこい笑顔で答えました。
「そうだったのかい。気をつかってくれてありがとう。子犬は大切に育てるからね。お母さんによろしく伝えておくれ」
「はい、わかりました。ところでこの子犬にはまだ名前がないんだ」
「そうなのかい」
「おじいさん、どんな名前がいいかな?」
「そうだな、モモって名前はどうだろうかな?」
「モモ、可愛い名前だね。それがいいよ」
「それじゃ、モモで決まりだね」
「これでおじいさんもモモと一緒だから、淋しくなくなるね」
「そうだね」
モモを抱きしめたおじいさんは、久しぶりの笑顔になりました。
おじいさんが愛したのおばあさんは『百恵』と言う名前でした。