「アホちゃうか」


「…えっ?」


「俺なんか嫌ったらえぇやん。咲希にキスしたんだって…」


そこまで言うと、アキは再び黙り、鞄を掴んでいる私の手を解いた。



「…暗くなるし、はよ帰れよ」


私を見ることなく教室を出ていくアキの後ろ姿を、動くことが出来ず、ただ見つめ続けた。



私にキスしたのはなに…?