「咲希」 「へっ?なに?」 不意に名前を呼ばれドキッとしてしまう。 「なんで何も言わへんの?」 「何もって…?」 意味が分からず、私を見つめるアキを見つめ返す。 「…なんで、なんであん時、キスしたんか、とか…」 「…急になに?」 突然、あの時のキスの話をされ、ドキドキと心臓が鳴り出す。 アキは前髪をくしゃくしゃと弄り、溜め息を吐きながら俯いた。