静かにリオルは湯から上がる。
置いてあったペンダントを首から掛け、手にとってそれをじっと見つめた。
「……シェリー。わたしも、同じだったと思う」
自ら渡すのならば、銃口を向けられたって構わない。
今は失った私たちの名を――かつての存在を、奪われるわけにはいかない。
濡れている体を拭き、掛けられていた貴族服を手に取った。
派手すぎず、どちらかというとシンプルなものである。
けれどレースとの組み合わせにより、可愛らしかった。
包帯もおいてあったが、それを手に取ることはないまま、彼女は扉を開けた。
ほんのりと、甘い匂いが漂う。
「あ、今ちょうど紅茶を……」
シンデレラはリオルの顔を見て、少し驚いた顔をした。
露わになった烙印。
すぐに、奴隷の証だと分かった。
隠すこともせず、まったく烙印を気にしていない様子に、彼女はさらに驚いた。