( おいで、デイジー )

優しいその声に、その手に、救われた。
私たちに温もりを与えてくれた。


「エルシー……、あなたと過ごした日々は、本当に幸せだった」


あなたが亡くなってからの日々は……。


( s-01、02、03、04。 今日からお前たちの呼び名はその烙印に記されたやつだ )


4人でならどんなにつらくても、乗り越えていけると思った。
そう、4人でなら。


( そいつを渡せ! )

( いやよ! これだけは、渡せない! )


あぁ、シェリー。 それを、渡して。
そうしないと―――。

( 奴隷の分際で逆らうのか、なんの価値もないガキが! )


お願い、シェリー。 早く、その手の中にあるものを――!


いとも簡単に、なんの躊躇いもなくひかれる引き金を、何度見たことだろう。
その頭の中で響き続ける音を、幾度となく聞いた。


( お前の代わりなんていくらでもいるんだよ )


――そう。その音は、響き続ける。
十年経った今でも、それはこだまし、顔に飛び散った生暖かいその液体の感触も、床に倒れ落ちる彼女の姿も、鮮明によみがえってくる。