永須 龍平。

友人じゃない。ただのクラスメート。

いつもあいつから、話しかけてくるからうざかったんだよな。



「元気だったか?」



「あ、ああ」



「いや、マジで懐かしいな。しかも、昔は無口だったのに…」



龍平が長く話し始めて、千波は呆然としていた。

…まさか、昔の知り合いに会うとはな。


「つか、女の子に絡むとか…」



「いや、待て。おい、千波」



「……笹河さん、次行くよ」



ぞっとするような声で、つぶやいた。

俺は龍平に、またなと言ってここを離れようとしたが、龍平は離してくれなかった。


「せっかく会ったんだしさ」


「悪い。今、無理なん……」



言い終わらないうちに、俺は気づいた。





龍平がナイフを俺の腹に押し当てていたことを。