好きだ。

好きだ。


それを繰り返しても、やっぱり言えなくて。
こんなに近くにいるのに。



「笹河さん、元気ないですね」



「ん、ちょっとあってな」



「そういう時は……」



バッグの中から、飴を取り出して俺に渡してきた。

飴…。



「飴嫌いでした?」



「いや、大好き」



飴を食べると、空は嬉しそうに笑った。



「空」



「はい?」



「二人で…」



「あっ、コラッ!笹河さんっ」



…千波が俺の背中を叩いて話しかけてきた。


馬鹿かっ、お前!
今、誘おうとしてたのによっ!



「あ、あなた…空ちゃんだよね」



「空ぁ」



千波と麻波が空と抱き合っていた。

うらやましい。


俺は千波の肩を叩いた。
おい、俺を無視するなよ。