「馬鹿ねぇ、ホント。普通、アドレスくらい聞くもんなのに」



「わ、忘れてたんだよ」



会えたという幸せな気持ちが携帯の存在を消していたからだ。



「チョコ食う?」



「…うん」



「少しくらい丸いほうがいいって」



「ホント!?じゃ、食べる!」



チョコケーキをふたつ、千波の前に置くとすぐに食べ始めた。



「あー…幸せの味」



「俺も」



『甘い恋は危険』だと昔、関係を持った女が言ってた。


『最初は苦くて最後が甘い恋なら…』



…その先を忘れてしまった。


苦い恋ほど燃えるけどな…。

甘い恋なんて、すぐに終わる気がする。