「あたし、ちょっと飲み物買ってくるから」



千波がニコッと笑って、出ていった。


俺と蒼空だけ。


「なぁ」



「何ですか?」



「二度と現れるなって言ったくせに、自分から現れて…その…」



「…いいですよ、別に。嬉しいですから」



本当に嬉しそうだった。


手を伸ばせば、蒼空に触れる。

抱きしめられる。



「幸せか?」



言いたくなかった。

この言葉だけは。


言えば、後悔するってわかってるのに。



「だと思います?」



「……まぁ………いや」



「不幸だと思ってます?」



「あぁ」



「わかってますねぇ、笹河さんのくせにー」



蒼空は、無理して笑う。