この出会いが俺を変えるのか、変えないのか。

蒼空を忘れたくないのか、忘れたいのか。



今はまだ答えが出ない。



空が好きか?と聞かれても、頷けるかわからない。


蒼空を空に重ねているだけじゃないのかと聞かれれば、違うと言える。



名前が一緒なだけ。

性別が一緒なだけ。


ただそれだけなんだ。


いつまでも引きずっても、想いがどこにも届かないとわかっているから。



だから…。




「さっさがーわさーん!!」



「何だよ」



後ろからぶつかってきた重たい狸みたいな女。



「聞いて!あたし、付き合うことになったの!」



狸みたいな千波が、俺を揺さぶりながら言った。



「好きな男と?」



「うんっ。やったぁ!!」



興奮し過ぎだろ。