「あ、あー…やっ、やらしいこと考えてるわけじゃなくって…。雨、酷いし…」


オロオロとする俺を見て、クスリと笑った。



「私も誘おうと思ってたんです」



そう言って、俺の手を掴んだ。



「どこ行きます?」



「え…あ、喫茶店…」



「いいですねっ」



俺は引っ張られながら、近くの喫茶店へと入った。



客は俺達だけ。



ワインとタバコの匂いが少しする。



「何にしようかな…」



メニューを見ながら、つぶやく女。

…そういや、名前知らないな。



「あのさ…名前、聞いてもいい?」



「あ、虹原空です」



そら?