タクシーで千波の家に行くことにした。

すべてを話さなきゃ、何も始まらない。


玄関前で、震えている千波の背中を優しく叩いた。

なぁ、お前は今母親なんだぞ。



「笹河さん、手繋いでて」



「あぁ」



ギュッと手を握った。

今にも崩れ落ちそうな千波を支えながら家の中に入った。



「ただいま」



「お姉ちゃん、明日ー……笹河さん?」



「…お邪魔します」



麻波…。

気まずい空気が一瞬流れた。


それを破ったのは千波。



「麻波、お父さん達いる?」



「うん…」



じっと俺を睨んでいたが、麻波はリビングに逃げ込んだ。