俺はあいつに何をしてやれるだろう。

妊娠してたとして、あいつは産むのだろうか。

産むのなら、俺は手伝おう。

金も心配することはない。
何とかしてやる。


…もう2時間経ったか?

もう寒くて、寒くて…。



「笹河さん!」



笑顔で突進してきた千波。
何だか嬉しそうだった。



「お、千波」



「あたしね、赤ちゃん産むよ!だって、あたしを選んで産まれてきてくれるんだもん」



迷いは消えたようだな。


中原さんは、千波の隣でにっこりと笑っていた。



「ありがとうございます」



「いえいえ。千波ちゃん、あとで検査薬使ってごらん?」



「え?」



「ちょっと気になることがあったの。慶君、あなたも一緒にいてあげなさい」


頷くと、中原さんは笑顔で帰っていった。