紀一は、蒼空の手紙をポケットに突っ込んだ。



「蒼空ちゃんの手紙読んだら、絶っっっっ対!後悔して、また体調悪くして皆に心配かけるんだから」



「…ちっ」



「はい、舌打ちしないの。てか、大根どうすんの」



あ…まぁ、夕飯に使うか。

味噌汁にでもすればいい。



「…おい、組長はどうした」



「組長さんなら、『これから、知り合いの人に会ってきます』って言って出てったけど…」



知り合い?



「誰と?」



「女の人らしいよ」



……まさか。

まさかだ。


春香じゃないよな?


いや、春香は組長のこと知ってるわけがない。



誰だ、女って…。